寮美千子「夢見る水の王国」

寮美千子「夢見る水の王国」


海辺の町でおじいさんと黒猫ヌバタマと暮らしていた少女マミコは自分の影「マコ」に名前と一角獣の角を奪われてしまう。
世界の果てにそれを捨てに行くというマコを追い、マミコはミコとなって白い仔馬とともに海を渡る。
名前と角を取り戻すために。

美しいイメージが重層的に連なる物語。
あたかも作中の雲母掘りの老鉱夫のごとく、
読者は章を読み進めるごとに、一枚また一枚と全く異なるきらめきを
見せる物語に魅惑されることだろう。
全編これ美しい詩篇のような。
どこを切り取っても一編の詩として成り立ってしまうほどの完成度。

ばらばらに提示されていた物語はきちんとラストに向かい収束してゆく。
終盤のイメージは圧巻です。

私が勝手に思っている寮さんの物語にこめられたメッセージ、それは
「私はこの世界で私として生きねばならない」
ということだと思っているのだけど。
今回もそれを受け取れたと思っています。

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