「ジークフリートの剣」深水黎一郎 

「ジークフリートの剣」深水黎一郎 講談社

バイロイト音楽祭の「ニーベルングの指輪」でジークフリート役に抜擢された藤枝和行。婚約者の有希子もオルトリンデ役で出演することになり、前途洋々に思われた。が、一つの事件が起こり・・・

「五声のリチェルカーレ」の深水さんの作品です。
いちおうミステリですが、事件は起こるものの、主人公の和行はあんまり動じない。
キャラクターの設定が、日本人離れした声とメンタルの強さを持ち、いかにもジークフリートを演じるにふさわしい、恐れを知らない性格で、音楽的にも輝かしいキャリアの持ち主、
というようになってるからですが。
だから、これって、どこがミステリなんだ?
と思ってると、終盤ではちゃんとミステリになります。しかも、一応伏線は回収されるし、うまく出来てます。
まあそのミステリあれこれよりも、バイロイトや指輪に関する薀蓄が面白かったです。
指輪、いつか見てみたくなりました。
バレエ版でしか見たことないので。。。とりあえずDVDでも見れたらいいのですが。
日本で上演することって・・・あるのかな?しかし、あったとしても4夜見ないといけないというのは
ハードだなあ^^;;

探偵役をつとめるバイオリン弾きの神泉寺くんのキャラがおもしろかったのですが、彼は他の作品にも登場してたりするのだろうか。

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空想オルガン

「空想オルガン」初野晴  角川書店 


高校に入り吹奏楽部に入部したチカは幼なじみでホルンの天才奏者ハルタと再会。
しかしせっかく入部したのに、部員数が少ない弱小吹奏楽部。でも顧問に、指揮者として
将来を嘱望されていた草壁先生が赴任してきて、チカとハルタはなんとか吹奏楽部を
盛りたてようと奮闘するが、校内でいろんな事件がおきて。 。。

このハルタ君、女子もうらやむ美少年、な設定で、ふつうならここでチカとハルタの恋愛方向にもっていくと思うんだけど、なぜかハルタは草壁先生が好き(!)という設定。
(といっても別にその設定はほとんど使われてないのだけど。)
なのでチカとハルタの関係は幼なじみの域を出ず、さっぱりとしていて、その分
周りとの友情話に焦点があてられてるので、それはそれで良いのですが。

で、これは「退出ゲーム」「初恋ソムリエ」と続いてきた3作目です。
吹奏楽部ものだけど、前2作はさほど音楽色は強くないのですが、ここで、吹奏楽部の憧れの地、
普門館を真剣に目指しはじめるので音楽ものとしてもなかなか楽しくなってきます。

私は大学からしか音楽系の部活じゃないので、中学とか高校の吹奏楽部ってまた
独特な感じなんだろうな~って思うと少し羨ましいです^^

ミステリとしても、わりと独特な感じのするミステリ、日常の謎系に本格風味を足したような感じで面白かったです。

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五声のリチェルカーレ

「五声のリチェルカーレ」深水黎一郎

なぜ、彼を殺したのか・・・?
昆虫ずきのおとなしい少年と思われていた少年による殺人事件。


この少年と対峙する家裁調査官、森本は、
なんと!ヴィオラ弾きという設定。

貴重な貴重な作品です(笑)

森本が語る作中のバッハの蘊蓄などなかなか興味深い。
表題の「リチェルカーレ」にも関わってきます。
リチェルカーレ→昆虫の擬態 という論理には、心情的には納得しがたいのですが^^;;

ミステリとしてもかなりよくできています。

もしかして中盤で、あるていど読めてしまうかもしれないのですが、
それでも最後まで緊迫感を保っています。

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「船に乗れ!3巻ー合奏協奏曲ー」藤谷治

「船に乗れ!3巻ー合奏協奏曲ー 」藤谷治


音楽でいったら終楽章。フィナーレ。にあたる巻にふさわしい
読み心地でした。満足満足。3巻では印象的なエピソードが多かったです。伊藤君のあれとか。。。高校に入ってさまざまな出会いをする合奏、孤独な独奏を経て、合奏協奏曲に行きつく心の流れも見事。サブタイトルがダブルミーニングを果たしていて上手いです。

この作者は「音楽そのもの」を描写してここまで読ませる力量は
すごいなと思いました。音楽とそれが喚起する風景、じゃなくて、
本当にスコアそのものを文字にしている感じ。ある意味のだめよりも凄い。(のだめの方がエンターテイメントだとは思うけれども)

それにしてもあの曲やりたーい。(文化祭のあれ)

タイトルの意味は最後で出てきましたね。なるほど。とは思ったのだけど。。。やっぱりちょっと分かりにくいような^^;;

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藤谷治「船に乗れ!」ジャイブ

藤谷治「船に乗れ!」ジャイブ

これ、本屋で平積みになっているのを見かけて表紙がチェロの絵だったのと、副題が「合奏と協奏」だったことから手に取ってみたら、
音楽小説だったんですね。
・・・タイトルからじゃ分からないんですけど(^^;;
もったいなくないでしょうか。それとも何か意味があるのかな。

で、1巻と2巻を買ったまましばらく積んでおいたのですが、ようやく2巻まで読了。

1巻「合奏と協奏」2巻「独奏」です。

祖父母が音楽をやる裕福な家に育ったサトルはチェロで芸高を受験するがあえなく失敗、3流音高の新生学園高校に入学する。そこで眼の澄んだ女の子、南やフルートの才能を持つ伊藤に出会い・・・

高校生、音楽、オーケストラ・・・期待いっぱいのモチーフです。

しかしこの主人公のサトルがちょっと自意識過剰ないけすかないヤツw。
なにせ中学生でニーチェを読んだりして、自分は周りとは違うとか思ってる、どことなく上から目線な奴。

そんなサトルが高校に入ってさまざまに葛藤する。

なので、ライトノベル風なのかと思いきや、かなり重めで本格的な読み口です。
青春!っていうか、文字通り、「青い春」的な。サトル君かなりぐるぐるしちゃってます。

著者は音楽高校卒、おそらくチェロ弾きなので、音楽面の語り口は本当に本格的。

あーわかるわかる。というシーンが満載です。オケのシーンしかり、その他のシーンしかり。
メンデルスゾーンのトリオの描写は迫力満点で、思わずYouTubeで見てしまいました。

1巻はまだ、サトルと南さんの話がメインなので、明るいのだけど、
2巻はわりとヘビー。。。
とくに夏休みの出来事が。

サトルが経験した一連のこと。自分はすごく弾けると自負していたら、
音楽をするスタート地点にも立てていなかった。それに気付かされたときの恥ずかしさや、一からやり直す不安や焦り。
程度は違えども、私もヴィオラを再開したとき同じようなことを経験した。
だからサトルの気持ちはちょっと、というか、かなり分かる。

メッツナー先生の示唆は私にも意義ぶかかった。


さて3巻はどのように展開してゆくのか!楽しみに読みたいと思います

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「流星の絆」 東野圭吾


3人兄弟妹が夜中、流星を見にゆき、
帰宅すると、両親が何者かに殺されていた。
弟は、逃げてゆく犯人を目撃するが、犯人は見つからない。

という衝撃的なエピソードから物語がはじまる。

成長した兄弟妹は詐欺を働くようになり
そこで出会ったターゲットが・・・

兄弟の両親は洋食屋を営んでおり、そこの名物ハヤシライスが
重要なキーポイントとなる。

最後まではらはらどきどきで一気に読ませ、また、非常に読後感がよかったのも
高ポイントです。


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「ひまわりの祝祭」藤原伊織

「ひまわりの祝祭」藤原伊織  講談社

ゴッホのひまわりに8枚目が!?
という謎はとても魅力的で、説得力も充分にあった。
が、その他のいろいろな要素をつめこみすぎて少し
焦点がぼやけてしまったような気がした。

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「忘れないと誓った僕がいた」平山瑞穂

「忘れないと誓った僕がいた」平山瑞穂  

メガネ屋さんでひとめぼれした店員は、なんと同じ高校の1つ上の先輩だった。 しかし、一緒に遊びにいった遊園地で、彼女は突然消えてしまい、しかも僕も 眠ってしまったのかそのときの記憶がないのだった。 彼女にはある秘密があり・・・
ファンタジーかと思いきやそうではなかった。

彼女、あずさは「消えてしまう」運命の持ち主で、
それをなんとかしたいとジタバタする僕。

この「消えてしまう運命」という設定は非現実的だけど、それを抜きにすれば、男の子が
好きな女の子のために奮闘するという、とてもまっすぐな恋愛小説。ちょっとくすぐったいくらい^^;;

僕、タカシが、彼女のことを忘れまいと記録するノート。
タカシはそれを何度も読み返すのだが、はたして記憶の中の彼女は
「自分の記憶」なのか、それとも「ノートの記述を読んでできた記憶」なのかが
分からなくなってきてしまう。
このあたりは興味深い考えだなあと思った。記憶とか思い出ってなんなのだろう、と
ちょっと考えさせられました。

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「シリウスの道」藤原伊織

「シリウスの道」藤原伊織 文藝春秋

大手広告代理店に勤める辰村は、ある日、大口の競合プレゼンの担当に任命される。 辰村には、小学校時代、勝也、明子という2人の幼なじみがいて、 過去に決して忘れられない出来事を抱えて生きてきた。 その過去が、思いがけなく辰村の前に姿をあらわす・・・!?
広告業界を舞台にした、ミステリもの。 というか、広告業界の裏側自体が面白かった。クライアントから依頼を受けて 実際にプレゼンを行うまでの流れとか。とくに、広告代理店の仕事なんて 営業くらいしか知らないので、マーケティングやデザイナーの仕事ぶりが興味ぶかかった。

全体的に、辰村がモテすぎで(笑)、女性部長の立花なんてちょっと男にとって都合よすぎな
キャラじゃない?と思ったりもしましたが、
面白く楽しめたのでよし(爆)

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「年下の女友達」林真理子

「年下の女友達」林真理子 集英社文庫

20代30代の「幸せになりたい」女たちのさまざまな形を描く短編集。
いや、いちおう通して主人公がいるので、連作短編になるのか。

すごくリアル・・・それも、やな感じにリアル。

私が本を読むときの喜びって、読書中は現実から離れられるからなのだと思う。
別に異世界ものでなくても、現代ものでも、自分と違う状況のストーリーを楽しむことで
ストレス解消しているというか。
なのであまりにリアルなこの小説は、小説世界に浸ることができず、
読了後も満足感が得られず・・・^^;;やるせない気分が残っただけでした。どよーん。
ちなみに、ハヤシさんのエッセイは好きで愛読しているのですが。
これは、はっきりいっていまいちでした。

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