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「ちいさいおうち」中島京子

「ちいさいおうち」中島京子

昭和10年代に東京郊外の赤い屋根の小さな洋館で女中をしていたタキの回想。
かわいらしい奥さまと、かわいいぼっちゃんの世話で、日々が充実していた。
しかし、戦争がしだいに影をおとし・・・

すばらしかった!
久々に、一気読みをしてしまいました。
直木賞をとったそうですが、当然だと思います。
文章が、派手さは無いけど、しっかりしていて、言葉の使い方が的確で、滋味深いのです。

メインのストーリーは昭和初期にお手伝いさんをしていたタキの回想録です。
お手伝いさんといっても悲惨な感じとか(おしんみたいな)ではなくて、自分で言ってるように「花嫁修業みたいなもの」。仕えている先が、ある程度裕福で、お家も綺麗だから、なのでしょうが。
この年代は、満州事変から太平洋戦争につきすすんでいく、暗い時代だったんだろう、と後生の私達なんかは思ってしまうわけですが、実際のところ、(戦争終末期はともかく)わりと裕福な一般市民は、こういうのんびりした雰囲気もあったのかもしれませんね。

で、ふつうにあの時代のタキの一代記、として読んでも面白いのですが、そこにいろいろ(恋とか!)
絡んできて、とくに終章のストーリーは圧巻です。

終章まで読むと、題名の「ちいさなおうち」の意味しているところが分かります。

とにかく上手い!
久々に大満足の読後感でした。

中島京子さんはだいぶ前になりますが「イトウの恋」も読んで、こちらも面白かったです。
これは、明治時代に東北を旅した女性イザベラ・バードの従者のイトウの手記。という構成。
中島さんはこういう「語りモノ」をまじえたスタイルが得意なのかもしれませんね。

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