「スロウハイツの神様 上下」辻村深月
「スロウハイツの神様 上下」辻村深月 講談社ノベルス
練馬にある古びたアパート。そこには、
新進脚本家、赤羽環。人気作家、チヨダコーキ、漫画家志望の狩野、画家志望の
すみれ、映画監督志望の正義、らが一緒に暮らしていた。環に誘われて
集った彼ら。
そこに、一人の美少女の出現が、すこしずつ波紋を起こし。。。
ちょっと「ハチクロ」のような。
夢に向かう若者がボロアパートに集い、わいわい楽しくやっていて
いつまでもこの幸せが続けばいいなと思ってるけど、心のどこかで
それは永遠ではないことを知っている、みたいな。
それと同時に、とても才能のある環とコーキを前にして、
未だ才能が世に出せない正義や狩野の葛藤が描かれて。
環が臆面もなく「コーキが一番で、スロウハイツでの「手塚治虫」で
私がNo2」と言っちゃうあたりは、ちょっとなんだかなと思ったりもするけど。
才能ってなに。天才てなに。とか考えてしまう。
最後まで読んでみると、これは、おとぎ話。なのかな、と思う。
この世に立ち向かうための、かすかな強い光をくれる「おはなし」。
そう、ちょっと「凍りのくじら」に似ている。ちょっとつながりもあるし。
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