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「ケッヘル」中山可穂 

「ケッヘル」中山可穂  文藝春秋

ケッヘル〈上〉ケッヘル〈下〉

伽椰はフランスの港町カレーの海辺で、海に向かって一心不乱に指揮をしている男を見かける。 男が振っていたのはモーツァルトの交響曲だった。 その男、遠松鍵人に頼まれて猫の世話をすることになり、さらには遠松の会社「アマデウス旅行社」で 働くことになった伽椰。

しかし最初の仕事でいきなり事件が。モーツァルトの曲に彩られた、錯綜する人間関係が織り成すドラマの幕が上がった。。。

全編にわたってモーツァルトの曲が聞こえてくるような小説。語り手が何人か交代し、しかも
いいところで交代してしまうので、続きが気になって一気に読んでしまう。
中心に鍵人を配してはいるが、複雑に織りあがった人間関係は読み応えがあり、ミステリじたてで
なかなか真相も分からず、最後まで読ませる。

モーツァルトの音楽に執りつかれたと言ってもいい鳥海武の生き方だが、
これもモーツァルトという作曲家の力のなせる技で、これが例えばブラームスとかだと
いまいちピンとこないであろう。モーツァルトにはそんな、狂気と紙一重みたいな部分があるのではないかと思う。


そしてラストシーンの読後感がとても良いのも好印象だった。
いくつか印象的な使われ方をしているモーツァルトの曲は、ぜひ聞いてみたくなってしまう。
とりわけ孤児院ミサのアニュス・デイなど涙しそうになった。


<若干ネタバレ>

美津子がビオラ弾きという設定も個人的に嬉しい(笑)「目立ちたくないけど、一番にはなりたいの」
ちょっと笑ってしまいました。そのとおりかも?(笑)
学園の夏休み。美津子と鍵人が弾くはずだったVnソナタ編曲はいったい何番だったのだろう。
幸せなままいられなかった二人が痛々しい。

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Comments

わ~~、瑛里さん、読み終わられたのですね。
ヴィオラ弾きの美津子が何故ヴィオラという楽器を選んだかと言う所が出てきますよね。
そして、アンサンブルでは、ヴィオラが音楽を支えるというような所。
私は読みながら瑛里さんの事を思い浮げてましたよ。(*^。^*)
そして、改めてヴィオラの魅力を感じました。
この物語では、各楽器、それぞれ、登場人物が配されているのも心憎いと思いました。
ピアノ・鍵人、ヴァイオリン・栗田、ヴィオラ・美津子、チェロ・柳井
フルート・榊原、ホルン・鬼頭、クラリネット(?)辰巳

この小説の影響で、最近、ピアノ四重奏曲ト短調K.476は、よく聴く様になりました。
それと、鳥海武がリクエストしたピアノ・ソナタ2楽章とか、練習したりしています。
鍵人が美津子に「夢の目覚めの際のキス」脳だと言ったピアノソナタ2楽章も。

>夏休み鍵人と美津子が弾くはずだったヴァイオリン・ソナタは何だったのでしょう。
瑛里さんのその言葉だけで、じわ~と涙が・・
二人は幸せになって欲しかったです。
孤児院ミサの「アニュスディ」、鍵人の語りと共に、心に響きますね。

Posted by: ワルツ | August 08, 2006 02:29 AM

ナンカ、読み直して、つらつらとまとまり無く書いてしまって、恥ずかしいです。すみません。
TB、どうもありがとうございました。

Posted by: ワルツ | August 08, 2006 02:31 AM

ワルツさん、コメント&TBありがとうございます。
ぎゃ。私のことを思い浮かべてくださったなんて(照)
美津子が弾いてるのがヴィオラでちょっぴり嬉しかった私でした。
鍵人もそうですが、ほかの人もキャラクターと楽器が合ってますよね。柳井も栗田も。。。それだけに彼らのその後が・・・(涙)
孤児院ミサ、全部通して聞いてみようと思ってます。
いつかワルツさんが弾くピアノソナタを聞けたらな~。

Posted by: 瑛里 | August 09, 2006 03:34 AM

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◆ 『 ケッヘル 上 ・ 下 』  中山可穂 著   読了。 私は情の濃い女(そんな言い方無いかも)だと思います。(夫にもよく言われますが。)好きになると、寝ても冷めてももうそれしか考えられないのです。(彼との結婚も恥ずかしながらそうでした。) 『ケッヘル』....... [Read More]

Tracked on August 08, 2006 02:32 AM

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