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「さよなら妖精」米沢穂信

「さよなら妖精」米沢穂信 創元推理文庫


ある雨の日に出会った、異国の少女。マーヤと名乗った彼女の目を
通して見る風景はこれまでとは全く違う意味をもっておれたちの前に現れた。
「哲学的な意味がありますか?」
そして彼女は帰っていった。鮮やかな思い出と、口にしなかった真実を残して。
おれたちは、彼女が語らなかった真実を解こうと試みる。

やや観念に生きているような、理屈っぽい感じの男子。そして現実には
確固たる目的も無くてややダレている感じの。
そんな男子が、一人の女の子と出会って振り回され、変わっていく。
古典部シリーズなどで見せた米澤さんの、まさに本領発揮といった感じの作品。
すごく、よかった。

男女が出てくるのに恋愛関係ではないところも米澤さんらしい。
私はこういう人物像や関係が決して嫌いではなく、むしろ好きなんだなということが今回よく分かった。

ミステリフロンティアなのでいちおうミステリ部分もあって、
マーヤがどこから来たのか?というのを当時の日記や資料から
1年後に推理する、という形を取っている。
それと作中でマーヤが目にする、なにげない日常のひとこまが彼女からしたら
謎に見え、それが解かれていく様子は微笑ましい。

それだけに最後で提示された謎解きについては、胸がうたれる。。。

そして設定が1991年なので、ネットも、携帯もメールもなくて、
連絡をつける手段は手紙。なにかを調べようと思ったら、本。
そんな時代設定にしっくり合った雰囲気の物語だった。ちょっと懐かしかった。

それにしてもユーゴ紛争についてほとんど全く知らない自分が恥ずかしい。
このとき本当に受験直前で、だから試験には出ないだろう、てな感じで
スルーしていたのだろうな。恥ずかしい。。。

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