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「ナラタージュ」 島本理生

star-parple1star-parple1「ナラタージュ」 島本理生 角川書店
ナラタージュ


結婚を控えた「私」は、昔の「忘れられない人」のことを思い出す・・・

葉山先生から、1年ぶりに電話がきた。
大学生の工藤泉は、葉山先生に頼まれて、出身高校の演劇部を手伝うことになる。
メンバーは高校時代の親友の志緒、黒川、黒川の友人の小野くん、
現役高校生の柚子と新堂、金田。そして劇の練習が始まる。

帯で、北上次郎が「とにかく読み始めろ。そうしたら、止まらなくなる」という
ようなことを書いていますが、そのとおり。
冒頭の「きっと君は、この先、誰と一緒にいてもその人のことを思い出すだろう。
だったら、君といるのが自分でもいいと思ったんだ」という一文で、
「ああ、これは、きっと私のツボ、、、」と思い、実際にそのとおりでした。

あらすじは、恋愛小説の王道というか、もうちょっと書こうかなとも思ったのですが、
本当に王道です。誰かのことが好きで、忘れられなくて、でもその人には事情があり、
自分のことを好きだと言ってくれる別の男の子と付き合ってみるけど、
やっぱりあんまり上手くいかなくて、その男の子は嫉妬で苦しみ、ぶつかり。。。

何が起きたか、ではなくて、どう思ったか、心情の描写が、すごく、すぐれている。
泉や小野君や志緒の気持ちに共感しながら読んでしまいます。

そして終盤の、葉山先生の部屋での、先生のセリフ。ここで、
私は、だーーーっと泣きました。あまりにも二人が切なくて。
そのあとはダラダラと泣きっぱなしでした。
ホームのシーンしかり。ラストシーンでも。

忘れられない人がいる、ということは、苦しいけれども
幸せなことなのかも、と思わせてくれる小説。

ラストまで読んだ後で冒頭に再び戻ると・・・「それでも、いい」と言ってくれる
人がいるなんて、泉はずるいぞ、というか、こんな人いるか!?なんて(^^;;

久々に、読んだあとにずっしりと心に残り、何度も反芻して思い返す小説でした。
現時点での今年のNo1です。

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